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バクモエweb(仮)

夢ノ咲学院前駅在住

愛の化身と隔てる世界

冬の夜のような、寒くて冷たくて澄んだ空気を感じた。

 

ユーリ9話、毎度感動を与えてくれる勇利のスケーティングにあまり魅了されなかった。
雑念が多いことは確かだったけれど、何かが足りなくて、いつもの勇利は?という感想しか出てこなかった。

 

なにかが足りないって、そりゃあ ヴィクトルなんですけど。

 

今シーズンのテーマに「愛」を掲げた勝生勇利。
勇利は目の前で見てくれてる大好きなヴィクトルがいないと愛を証明できない。

勇利もそれではダメだって頭では理解できている。
でも体がヴィクトルのハグを、愛を求めていたんだ。

 

そして、今回のロシア大会のFSはヴィクトルにはどう映ったのだろう。
自分がいないと滑れない勇利?
自分を誘惑する思いでしか滑れない勇利?
それを本当にヴィクトルは望んでる?
これの答えははっきりと割り切れないと思う。
ヴィクトルにとっても勇利は特別で、大切。
ヴィクトルにとっても勇利は驚きを与えてくれる唯一の存在だからだ。
二人ともお互いが無しではいられなくなっている。
それはもうBLなんてものよりも深くて、唯一無二で失いたくないもので、手放したくない「愛」なのだ。

 

ヴィクトルのために滑る勇利は驚かせるために必死で、限界を超えた演技の危うさが魅力なのだ。
その危うさが今シーズンの勇利の得点に繋がっている。
ヴィクトルがいなくても戦えるようにならなければならない。

 

「ヴィクトルがそばにいても、
離れていても、どうせキツさは一緒」

「ヴィクトルと僕で作ったこのプログラムを世界で一番愛しているのはこの僕だ!」

「まだ終わりじゃない、ヴィクトルと金メダルを取ってから終わる」

 

FPを"ひとりで"滑っている勇利の独白。

途中で持ち直したけれど、以前のように自信満々な演技ではなかったのだ。

「今までで正直一番きつかった」
というのはヴィクトルという存在による自分の自信がその場になかったから。
ヴィクトルが自分のコーチであるということが自分の自信になっていたから、その自信そのものがなかったために情けない演技になったのかもしれない。


「ヴィクトルはもうすぐロシアに帰るよ」
という言葉は"期限"をヴィクトルと一時的に離れることによって強く感じたからではないかと思った。
ヴィクトルが自分のコーチであることを"期限付き"のものだと思っているし、"借り物"で"世界から奪った"と思ってる。
そしてヴィクトルがコーチでない限り自分のものではない…
と思っていないわけじゃないけど、ヴィクトルが言葉にしたり証明してくれない限り勇利には伝わらないのだ。
それが8話の駐車場でのやり取りで「僕が勝つって僕より信じてよ」「黙ってていいから離れずにそばにいてよ」になるのだろう。

 

「引退までよろしくお願いします」
「勇利がずっと引退しなければいいのに」

という二人の"期限"が強調されてて、勇利は一度ヴィクトルと離れることによってヴィクトルがいないスケート人生に一時的に戻った。
一度は近づいたけれどお互い期限を意識することによって、また遠慮が出てきているのかもしれない。
"自分の"コーチであるヴィクトル・ニキフォロフはもうすぐロシアに返さなければならない。
「離れずにそばにいてよ」って自分の本心を泣きながら言った勇利が、引退"まで"と一歩引いた。

 

 

「離れずにそばにいてよ」
「離れていても心はそばに」
「引退までよろしくお願いします」
「勇利が引退しなければいいのに」

 

 

わたしの中で「離れずにそばにいてよ」のアンサーは「勇利が引退しなければいいのに」だと思っている。

離れていても心はそばに、っていうのはいつものヴィクトルの他愛ない言葉ではないかとも思う。
全くもってそう思っていないわけではないけれど、それよりも心からスッと出た言葉が「勇利がずっと引退しなければいいのに」で。


「ヴィクトルに話したいこと、いっぱいあるよ。」
「なにから話そう」
そんな風に思っていたのにヴィクトルが腕を広げて"待ってる"中に飛び込んだら期限まで僕のことをお願いします、という言葉以外出てこなかった。

金メダルを"一緒に"取ることができるのは勇利のコーチをしている今シーズンのグランプリファイナルだけ。

その期限に、思いを馳せるのだ。

 

いつもは勇利が立っている場所にヴィクトルが飛び込んで、抱きついて愛を"受け止めていた"勇利が、自分から愛を"求めて"飛び込んだ。

だんだんとヴィクトルと過ごす時間を惜しみ始めている。
ひんやりとした夜のようで少しものさみしい。
この冷たさがユーリ!!!on ICE、氷上の冷えた空気とリンクしているのかもしれない。